第二十六章

ハーディング家の屋敷で、グレースは母の指示どおり、まっすぐ主寝室へ向かった。部屋の隅にはキャサリンの化粧台が置かれ、柔らかな灯りを受けて、その天板がつややかに光っていた。

「化粧台の下、二段目の引き出し……」

グレースは母の切迫した言葉を反芻するように、小さくつぶやいた。

引き出しを開けると、化粧品の下に差し込まれたファイルがすぐに目に入った。

それに手を伸ばす指先が、わずかに震える。地下室に閉じ込められた母が、わざわざ取りに行けと指示したほどの書類だ。重要でないはずがなかった。

好奇心がついに勝った。グレースは慎重にファイルを開き、一枚目を読み始めた。視線が文字を追うにつれ、みるみ...

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